Tumblr(タンブラー)の使い方を変えてわかったこと


何度かこのブログでも書いてきたTumblr(タンブラー)のこと。長く使っている人は感覚的にわかっていることだと思うけど、僕自身がここ2ヶ月くらい使い方を変えて実感したことをまとめて書いてみたい。また自転車ネタではないけれどよかったらおつきあいください。左の画像の説明はのちほど。


Tumblr(タンブラー)に関するその他のエントリ
Tumblr(タンブラー)のreblogがたぐり寄せるプチ覚醒感
Tumblr(タンブラー)を情報発信に使う。そして僕がCyclingEXを応援する理由とは。
Tumblr(タンブラー)のダッシュボードをおもしろくするいくつかの方法


[http://www.tumblr.com/:title=Tumblr]のことを簡単におさらいしておく(僕のTumblrは[http://pedalfar.tumblr.com/:title=ここ])。Tumblerはミニブログなどと呼ばれるWEBサービスで、最大の特徴は他のサイトの記事を簡単に引用(Quote=クォート)できることだ。普通、おもしろい記事を見つけたらそのページをブックマークする。しかしTumblrではその記事の一部分(自分にとって必要な部分)だけをクリップすることができる。クリップしたい部分を選択しQuoteボタンをクリックするだけ。この機能はツールバーにTumblrボタンを登録したり、FirefoxやSafariならばプラグインやスクリプトを入れることで(右クリックで)簡単に使うことができる。引用した記事には引用元へのリンクが自動的に表示・挿入される。
そうやって自分のダッシュボード(Tumblrではクリップされる画面をそう呼ぶ)に記事をクリップするだけでもいいし、その記事に対して自分のコメントを書き込んでもいい。そしてTumblrの大きな特長は、そうやって記事をクリップしている人をフォローすることができるということ。誰かをフォローするとその人がダッシュボードにQuoteしたもの、Postしたものがこちら(=自分)のダッシュボードに流れてくる。その記事が気に入れば改めて(その記事ごと)再投稿する。これをreblog(リブログ)という。reblogされることによってフォローしている人つながりで情報は拡散していく。雑誌に例えればおもしろい記事があったら「これ、おもしろいよ」と隣に座っている人にその雑誌のそのページを開いて手渡すような感じ。
半年ほど前にTumblrを使い始めてずっと僕の使い方はreblog中心で時々自分が気になった記事や気に入った画像をクリップする」という使い方だった。ほとんどの人がこの使い方なんじゃないかと思う。Tumblrの使い方に関する記事も「最初の使い方」としてこういった解説をしている。Tumblrの基本的な使い方は[http://journal.mycom.co.jp/series/tumblr/001/index.html:title=ここ]とか[http://www.appbank.net/2009/04/20/iphone-news/21679.php:title=ここ]とか。

しかし、こういった使い方とはやや違った使い方をしている人たちが2種類存在する。どちらの人にも共通するポイントは「圧倒的に数が多い」ということだ。

桁違いの人数をフォローし桁違いの数のreblogをする人がいる。アルファタンブリストとかアルファリブロガーと呼ばれる人だ。当然、フォローされている人数も桁違いに多い。たとえばMacintoshに関するQuoteをよくする人を何人もフォローしている人だとする。流れてくる記事でダブっているものは引用範囲が適当なほうのQuoteをreblogする。Mac系の有名処のサイトからのQuoteは「これは皆元サイトで読んでいるだろう」「他の誰かがPostするだろう」とあえてreblogしない。もちろん自分でPostもする。噂系のサイトや個人のブログなどでまだ一般に知られていない情報があればPostしたりreblogしたり。つまり膨大な数の記者を抱えた編集デスクのような存在だ。しかも時には自分で取材に飛び出していくデスクだ。Macの最新情報を知りたければ何人もの人をフォローせずとも、この人だけをフォローすれば事足りてしまう、そんな存在だ。桁違いの人数にフォローされているので彼にreblogされると情報は一気に拡散する。

そしてもう片方の人は(これも誰かがTumblr上で言っていた呼び名だが)パブリッシャーとでも言うべき最初のPostを大量にする人だ。多くのブログを読み、ニュースサイトを読み、多くの人をTwitterでフォローし、そのなかでおもしろいとおもったものを次々とPostする。その数は膨大で「bot(プログラム)なんじゃないか」「人工知能なのかも」と噂されたりするw もちろんこちらの人も桁違いのフォロワーがいる。
この2種類の人はreblog専門、Post専門というわけではなく、reblogもすればPostもする。その比率の差だ。どっちにしても普通の使い方をしている人から見れば「桁違い」なのである。

僕が「ちょっと違う使い方をしてみた」というのは主に後者の「元Postを沢山する」という使い方だ。きっかけはある画像だった。
ある日、ダッシュボードにきれいな画像が流れてきた。仮にリンゴの絵だとしよう(Apple社のメタファーではない)。リンゴを流してきた人(=僕がフォローしている人)も今までこの手の絵を流してきたことがなかった人だから、たまたまだったのだろう。僕はそれが気に入った。他にリンゴを沢山流している人がいるのだろうか、いるのならフォローしたいところだけれど見つからない。結局、僕は自分でリンゴを探すことにした。

[f:id:pedalfar:20100204223606j:image:w300:left]

流れを簡単な図にまとめてみた。
僕がフォローしている人をAグループ、僕をフォローしてくれている人をBグループ、相互にフォローしあっている人(AグループとBグループの重なっている部分)をCグループとする。この使い方を始めた時点での人数はAグループが約140人、Bグループが約200人、Cグループは20人くらいだったか。可視化しやすいように僕とその他という図にしたけれど、実際は僕も誰かのAグループやBグループであり、それが相互に重なり合っているのがTumblrの世界だ。


矢印1)Aグループからリンゴが流れてきた
矢印2)リンゴの絵が気に入ったのでリンゴの絵を探しにネットを徘徊

最初に流れてきたリンゴの絵はFlickrにアップされた画像だった。ネタ元のFlickrのページを見に行き、その画像をアップした人の他の写真を見ると他にもリンゴの絵がある。その写真につけられたタグやFlickrグループを順に見ていき、何人かのカメラマンのphotostreamをRSSリーダーに登録した。カメラマン自身や写真に写っている人のブログも見て回り、気に入ったものはどんどんRSS登録した。そうやって数珠つながりでRSS登録したサイトやブログが増えていき、僕のRSSリーダーにはどんどん写真が流れてくるようになり、一日に何回かRSSリーダーを覗き、リンゴの絵があればTumblrにPostしていった([http://wiki.github.com/to/tombloo/:title=tombloo]の右クリック万歳!)。多分、大量にPostをしている人は皆このやり方なのだろう。


矢印3)見つけたリンゴの絵をTumblrにPost(矢印3)
Postした画像はほとんどの場合それほどreblogされることはなかったけれど、時々、自分でPostしたにもかかわらず「へ?なんでこれがこれほどreblogされるの??」というものもあった。大抵は先に書いたアルファタンブリストがreblogした時だったけれど、時にはアルファタンブリストにreblogされた時のように一気に拡散するのではなく、数珠つながりで細く長くreblogされ続けたものもあった。たとえば[http://pedalfar.tumblr.com/post/319512038/picture-4625-en-tutu-a-notre-dame-le-blog:title=この画像]は僕がPostしたものだけれど、ある女の子のブログに載っていた画像だ(引用元は[http://www.leblogdelamechante.fr/paris-notre-dame/?pid=4625#365-picture:title=こちら])。何枚かのスナップの中で雪に滑って「おっとっと」となった写真だ。「あ、おもしろい」と思ったので転載させてもらったけれど、これをこんなに沢山の人がreblogするとは思いも寄らなかった。僕が「おもしろい」と感じたことをこれほど多くの人が共有するとは。こういうことがあるからTumblrはおもしろい。


矢印4)相互フォローの人からリンゴが流れてきた
リンゴをPostし続けているうちに相互にフォローしている人からリンゴが流れてきた。どこか別のところから流れてきたリンゴをその人がreblogしたものだ。「オマエ、これ好きだろ?」と僕に対してreblogしてくれたのか。そういう暗黙のコミュニケーションのようなものがTumblrのフォロワー同士にはある(Tumblr界隈でよく知られているのは佐々木希の画像を「のまさん、どうぞ」とreblogすること。のまさんがどこのどなたなのかは僕は存じ上げないけれど「[http://l.pr/a4b0s/:title=のまさん、どうぞ]」でgoogl画像検索すると佐々木希の画像が山のように出てくる)。僕がしつこくリンゴを流すのでその人の意識にリンゴが刷り込まれたのか、その人自身が単にそのリンゴを気に入ったからなのか、理由は知る術もない。当然僕はそれをreblogした。それは少しずつ増えていき「ほれ、リンゴ」「リンゴじゃなくて梨だけどどう?」「リンゴじゃないけどオレンジでもどうぞ」という感じでいろいろと流れてくるようになった。この辺りはかなり僕の受け取り方の感覚的なもの(フルーツの定義)で、そこに相手の意志があったのかはやはり知る由もない。しかし僕のダッシュボードは全体的に「フルーツっぽく」なってきた。この間、僕はフォローの人数を増やしていない。つまり顔ぶれは変わることなく、流れてくるもののフルーツ度が少し上がったのだ。

最初に相互フォローの人からリンゴが流れてきたときに今書いている一連のことのまず最初の直感があった。その直感を確かめるために僕はPostの数を増やしていった。昨年12月の後半から数週間にわたりPostリミット一杯(画像75枚/1日)までPostし続けた。


矢印5)やがてAグループからリンゴが流れてきた
そうこうしているうちにAグループの人からリンゴ(も含めたフルーツ)が流れてくるようになった。最初はたまたまかと思った。Aグループの人は相互フォローではないこちらが勝手にフォローしてる人だ。つまり僕がリンゴを大量にPostしていることを直接は知らない。繰り返すけれど「リンゴ(も含めたフルーツ)」というのは明解な基準があるわけではなく、あくまで僕の感覚的なものなので定義しにくい。もちろんその人がリンゴと意識してPost(or reblog)したのかどうかもわからない。しかし僕の感覚ではフルーツの登場頻度があきらからに上がっていった。自分が大量にPostし続けることで自分のダッシュボードに流れてくるものが変わっていったのか?

僕自身がPostするもの+流れてきたフルーツのreblogでさらに僕の流すフルーツは増えていった。それに伴ってフォロワーの数が増えていった。当初のフォロワー200人からじわじわと増え、250人を超えたあたりから一気に増えた。一ヶ月ほどで100人増え350人となり今現在は400人を超えた。これもこの一連の流れの中で気がついたことで、それまでも僕はかなりの数のreblogをしていたけれどreblogをしていても(桁違いの数でない限り)フォロワーはあまり増えない。しかし元Postをするようになるとあっという間に増えた。皆「元Postは誰?」ということを気にしているということなのだろうか。フォロワーを増やすことに特にモチベーションはないけれどフォロワーが増えれば情報の拡散範囲は広くなる。

そして大量のPostを続けて一ヶ月くらいしてから僕がPostしたリンゴが再び僕のダッシュボードに流れてくるようになった。つまり何人かのreblogを経て僕のところに僕の流したリンゴが戻ってくるようになったのだ。数人、或いは数十人のreblogを経て。先に書いた「おっとっと」の画像もそのひとつだ。reblogしたものがまた流れてくることはよくあるけれど自分がPostしたものが帰ってきたのは初めてだった。超人気タレントの画像やタイムリーな話題の記事ならいくらでもあることだろう。でも僕が流したのはリンゴだ。

ここまでの流れをどう捉え、どう考察するか、いろいろな見方があると思う。簡単な仮説を立てることはできる。Aグループは僕がおもしろいと感じるものを流してくれる。Bグループは僕の流すものをおもしろいと感じてくれる。一定の範囲でAグループとBグループは近似の興味を持つグループである。であるならばAグループとBグループの間も近似の「おもしろさ」でつながっている可能性がある。そこに大量に「リンゴ」を投入すればリンゴに触発されて流れ全体のフルーツ度が上がる。ちょっと考えてみれば当たり前のことかも。僕がPostした「おっとっと」が僕のダッシュボードに戻ってくるまでの経路を辿り、その流れをダイアグラムのように可視化すればわかりやすいのだろう。但し今回はリンゴの絵(=画像)という比較的多くの人が直感的にreblogしやすいモチーフだったけれど、これがテキストの情報だった場合はまた違ってくるのだと思う。

「求めよ、さらば与えられん」ではなく、Tumblrは「与えよ、さらば与えられん」だと言った人がいた。初めはその意味がよくわからなかったけれど、この一連の流れで「まさにそれ」という実感がある。「Tumblrは誰でも効率的に情報を集めることができるツール」という定義は間違っていない。でも「情報を沢山発信している人のところにより沢山の情報が集まる」ということが可視化されて実感できる(あくまで僕自身の感覚的なものではあるけれど)。フォローのつながり方を正確に辿れば流れをより可視化できるだろう。ただ個々人が「なぜreblogしたのか」ということはわからないけれど。

この「Tumblrは情報を効率的に集めるツール」という定義とは全く違った面を僕は一連の流れで垣間見た気がする。それはなにか。一回のエントリーでまとめて書こうと思ったのだけど、かなり長くなってしまったので数回に分けてアップすることにする。また無断引用、無断転載というネガな面もTumblrにはある。それについてもこのあと考察してみたい。

Twitterは津田さん([http://twitter.com/tsuda/:title=@tsuda])という類い希なエバンジェリストを得て広く認知された(もちろん「彼だけが」広めたとは言わないけれど)。数千人単位をフォローし数万人単位の人にフォローされる。そこまでいって初めて見えるTwitterの可能性があったのだと思う。Tumblrはどうなのだろう。桁違いのフォロワーを持つ「あの人」辺りがエバンジェリストとして発言していくならば、また新しい展開が生まれるのだろうか、とも思う。

あ、それからこの一連の流れについて、もし僕のフォロワーの方がこれを読んでいたら「オマエの実験につきあわされたのか!?」とは思わないでください。あくまでリンゴを流し続けたのは(草薙素子風に言えば)「個人的嗜好に基づくPost行為」であり、僕はリンゴが好きなのです(って言わなくてもわかるかw)。その「リンゴとは何なのか」も次回明かすことにしよう。

ロングライドブログランキング