自転車島旅:瀬戸内のアートの島へ行ってきた(直島・豊島)。


先週末、8月22日から25日の三泊四日で、瀬戸内のアートの島、豊島と直島に行ってきた。自転車で行く島旅、10番目と11番目か。アートの島としての感想はいろいろな人が書いているので(その他にも情報があるので)「自転車で行くとどうなの?」ということを書いておく。

ロードで走れる道で島を一周すると豊島は約12km、直島は約11km。島の外周に沿った道はないので距離的にはこんなもの。頑張れば歩いて回れる程度の距離しかない。そしてどちらも最高標高地点は100mもない。じゃあロードで行ってもつまらないかと言うと、実はそうでもない。島らしく適度なアップダウンがあり走っている分には気持ちがいいし、随所で瀬戸内の素晴らしい景色が見られる。もちろんダイナミックに走りたいという人にはオススメしないけれど、島のなかの道を巡って点在するアート作品を気持ちよくつないで走る。そして街中をのんびり見て回るには自転車は最適だ。クルマはほとんど走っていない。
実際、フェリー港にはレンタサイクルのお店が沢山ある。電動アシスト自転車の一日レンタルが1,500円、ギヤ付きMTBが700円、普通のママチャリが500円とか。「ママチャリでいいよね」と思って借りると、多分、普通の人はアップダウンで難儀する(坂で押している人多数)。
この島を回るためだけにロードを持って行くとオーバースペックだけど、かと言ってママチャリだとつらい。最適なのはギヤ付きの軽快なミニベロとかか。島巡りをしているらしきロード乗りは数人見かけた。

注意しなければいけないのは島へ渡るフェリー。私は岡山県側(本州側)の宇野港から先に豊島へ渡ったのだけれど、便数が少ない。約二時間おきに高速船とフェリーが交互に運航している。そしてこの高速船は自転車を乗せることができない。バラして輪行袋に入れてもNG。フェリーで渡るしか方法がない。つまりフェリーを一便逃すと(間に高速船をはさんで)次は4時間後になってしまう。直島は豊島に比べると宇野港からのフェリーの便数も多いので、ここまで間が空いてしまうことはない。
豊島から直島へは直接船で移動できる。フェリーは運航していなくて高速船のみだけど、この区間だけは輪行袋に入れればバイクを乗せることができる。但し、これは一日一便しかない(15時半頃)。一日二便でした(13:35と15:55 2015年8月現在)。これを逃すと豊島からフェリーで一旦宇野港に戻って、再度フェリーで直島に渡るというルートになる。まあ、それでも便の接続が上手くいけば一時間くらいだけど。

島へ渡る船は岡山側の宇野港と高松側の高松港から出ている。距離的には宇野港からのほうが遙かに近い。東京から行くと新幹線で岡山まで行くか、飛行機で高松空港まで飛ぶかだけど、船の時間を考えるとトータルでは新幹線で行く方が便利か。とっとと飛んで瀬戸内海を船でのんびり渡るのを楽しみたいというならば飛行機で高松もアリか。
岡山駅から宇野港までは22kmほど。特に走って楽しいという道ではないけれど、岡山から宇野までのJR宇野線の乗り継ぎ具合との兼ね合いで。輪行の場合、時間は50分くらいなので自走とそれほど差はない(高松空港から高松港も同じく20kmちょっと)。私は岡山駅前でバイクを組み立てて宇野まで自走、そのままフェリーに乗って豊島に渡った。自転車島旅としてはこういう流れの方が楽しい。

この辺りの船便に関してはベネッセアートのWEBサイト「各港から島々へのアクセス」のページにまとめて掲載されている。

どちらの島も夜は早い。特に豊島は夜八時頃になると開いている店がない。島で夕食を食べる場合は気をつけないと食いっぱぐれる。

アート作品、美術館についてはひとつだけ。豊島の「豊島美術館」は絶対に観た方がいい。ここは素晴らしい。もちろん、地中美術館や家プロジェクトなど見所は他にもふんだんにある。

それから玉野の街が思いの外よかった(玉野の最寄り駅が宇野)。三井造船玉野事業所を中心とした企業城下町で昭和の趣きのある街だった。街の中を約3kmの幅のある自転車道が通っている。玉野市電の廃線跡を利用したもので、今では多分、造船所で働く人たちがここを通って通勤しているのだと思う。

豊島では民泊で「暮石さん家」にお世話になった。民泊というのは民宿とは違って、一般のお宅に泊めていただくというもの(豊島は普通の宿泊施設が非常に少ない)。島の生活を垣間見つつ、とても暮石さんにはよくしていただいた。
直島ではベネッセハウス(パーク)に泊まった。安藤忠雄さん設計の、安藤忠雄作品らしいホテル。非常にカッコいいのだけれど、正直、居心地よくくつろげるというのとはちと方向性が違っていた(ま、私のホテルの好みもあるけど)。


時間と脚があるのなら、自転車乗り的理想コースは「しまなみ海道」とくっつけて

尾道しまなみ海道〜四国の瀬戸内海沿いに高松まで〜高松から島へ〜島から宇野港経由で岡山

というコースか。距離は約250km。それぞれのポイントに一泊して四泊五日くらいで行くときっと楽しい。


随所でこんな景色が見られる。

島の売店ガリガリくん。コンビニの店先で食べるのとひと味違う。

三井造船の乾ドック。