地方のイベントで走るときこそ

昨日は某自転車業界の方とお会いした(例によって僕にとっては趣味なのか仕事なのか微妙なことで)。
「地方都市だとショップをやっていくのもなかなか難しくて」というお話を聞いた。自転車ブームと言っても、それは東京や大阪など大都市圏の話であって、地方では「まだまだなんですよ」という。確かにそうなんだろうなと思う。
週末に輪行で出かけて「自転車に乗るには最高の場所だな」と思えるようなところで走っても、全く他の自転車乗りに出会わないことが多い。出会ったとしても僕と同じく東京から走りに来た人だったり。

ところで皆さんは、大都市圏と地方都市、どちらの方が自転車で走りやすいと思うだろう?
疋田さんが「東京は実は自転車で走りやすい街なのだ」とどこかで書いていた。クルマは多いし路駐も多い。東京の自転車的道路事情は最悪だと言う人がいるけれど、東京では「ヘルメットを被り結構な速さで車道を走る自転車がいる」ということが認知されている。ドライバーも「邪魔くさい」と思いながらも、そういう自転車がいるということを知っている。だから「走りやすい」というのだ。なるほどなーと思う(この辺りの見方がさすが疋田さんだなと思う)。
邪魔くさいとか危なっかしいと思われていたとしても、車道上に存在すると認知されているならば、車道を自転車が走っているとびっくりされるような場所で走るより「走りやすい」というのはそのとおりだと思う。実際、地方都市で走っていると車道を走っているというだけで、いきなり「危なねーな!」とクルマから怒鳴られたりする。東京ではめったにそんなことはない(もしあったとしたら大抵は地方ナンバーのクルマだ)。

いただいた本の感想のメールでも地方の方だと「周りに乗っている人がいない」という方が多い。「なんで自転車なんか乗ってるの?」と言われることすらあるという。そんな街でヘルメット+ジャージ・レーパンで車道を走っていれば「ヘンな人」認定されてしまうのかも。そりゃそういう土地でショップをやっていくのも大変だよね。

全国でいろいろなサイクリングイベントが開催されている。町おこしだったり、自転車乗りの裾野を広げたいという思いだったり、その思いは様々だけど、地元の自転車乗りにとっては「こうやって車道を走る自転車がいる」という認識を、自転車に乗らない人にも広めたいという思いがあるという。
その思いに応えるためにも、イベント参加者は交通ルールをちゃんと守って走らなければならないと思う。車道を走って危なっかしいし信号は守らない。何台も並んで走って車道を塞ぐ。そんなネガな認識を地元の人に与えてしまったら折角のイベントを開催してくれた人たちに申し訳ない。恥のかきすてとばかりに傍若無人に走って翌日には帰ってしまう参加者はいいけれど、地元の自転車乗りは参加者が残していったネガな印象を背負って走らなければならなくなってしまう。そんなことになったら、本当に申し訳ないことだと思うのだ。
自分の地元ではない。ただ通り過ぎるだけの街。イベントで年に一度だけ走る道。そんな場所だからこそ、その地元の自転車乗りのためにも、ちゃんとした走り方で礼を尽くす。それって当たり前のことだと思うんだよね。

ロードバイクランキング