負けを認めるということ

はてなブックマークに何気なくコメントしたらずいぶん星をもらってびっくりしたので、この記事についてちょっと書いておく。

mF247を始めた丸山茂雄さんはEPICソニー創始者ソニー・ミュージックエンタテインメントSME)元社長という業界のビッグネームだ。mF247を彼が立ち上げたとき、そのコンセプトはおもしろいと思ったけれど、正直に言うと、彼の存在感に違和感があった。自分がやれば注目が集まる。自分のところに来れば「注目されるよ」とアーティストに言っているような雰囲気を感じたのだ。もちろん、ご本人がそんなことを吹聴していたわけではない。しかしmF247がスタートした当時、ネット上で見かける情報は、そのコンセプトよりも「丸山茂雄が始めた」ということに偏っていたように見えた。もしかしたら彼自身にも自分のネームバリュー頼みという気持ちもあったのかもしれない。でもそれはアテが外れた。

結局、mF247の運営は軌道に乗らず最終的に休止。運営権はオークションで競売され、紆余曲折の末、ひろゆきが獲得する。

負けを認めることはむずかしい。年を取れば取るほど、それはむずかしい。自分がやってきたことへの自負もある。プライドもある。自分の感性・時代感覚を自分で否定することは困難なことだ。しかも人生も後半戦になってくると、やり直すことができる時間も少なくなってくる。
しかし負けを認めないと「もうちょっと精度を上げれば」「もうちょっと時代がついてきてくれれば」などと思いがちだ。つまり「根本的なやり方は間違っていない」という考えから脱することが出来ない。でも往々にして根本的に間違っているのだ。負けを認めてリセットする。そうしなければゲームを変えることは出来ない。
彼は「失敗だった」「失敗したオヤジは口を出さない方がいい。運営はひろゆきの考えを中心にしていく」と言い切った。彼ほどの実績がある人が、なかなか言えることではないと思う。

しかし、彼に「失敗だった」と認めさせたのはひろゆきだったんじゃないかという気もする。mF247が休止を決定した直後、丸山氏は「使命は果たした」というコメントを出している。このコメントを読んで、正直なところ「カッコつけるなよ。潔くないなぁ」と思ったものだ。でも今回「失敗だった」と彼が言ったこと、彼に言わせたことには、ひろゆきの存在が大きく影響しているのではないかと思うのだ。

こんなやりとりを見ていると、最近のひろゆきは「プチ解脱」しているんじゃないかと思えるほど。彼には自分が「何が欲しいのか」というのが見えている。きっと「こんな音楽サイトが欲しい」というのも見えているのではないか。ニコニコの時と同じように。
数多くのアーティストを見てきた丸山氏だ。きっと人を見る目は確かだろう。丸山氏はひろゆきのそれを見抜いたのだと思う。つまり、そんなひろゆきに出会ったからこそ「自分は失敗したが、あとはこいつに任せてみよう」と思ったのではないか。
ま、ひろゆきには「オヤジころがし」の才もありそうな気もするので、そのせいかもしれないが(笑)

「失敗だった」とはっきり認めた丸山氏を尊敬し、これからのmF247を応援したいと思う。