ツール・ド・おきなわで出会った自転車の恩人


ムービーはこのエントリーとは全く関係ありません。ウチ(マンションの3階)のベランダの目の前にある我が家専用の桜(ウソ)。撮ったのは火曜日。花見をし損ねた方は花見代わりどうぞ。特に何事も起こりません。ただ4分間、桜吹雪が舞っているだけです(笑)画面をクリックすると大きなサイズで見ることが出来ます。

さて、前のエントリーの吉本宏さんにとってフルーツシールにハマる「決定的な出会い」だった人が、僕にとってはロングライドにハマる「決定的な出会い」の人だった。そう、相馬章宏さんとの出会いである。

2003年に初めて「ツール・ド・おきなわ本島一周」に参加した時のことは一冊目の本に詳しく書いた。今でも自転車に関することで、あの時の達成感を超えるものには出会えていない。あの日、ツール・ド・おきなわを走っていなければ、僕はここまで自転車にハマることもなかっただろうし、もちろん自転車の本を書くことなどなかっただろう。そして人との出会いにも恵まれた。

ツール・ド・おきなわ本島一周」の初日の宿は今では豪華なリゾートホテルになったけど、その頃は宣野座村の研修センターのような建物で参加者も200人足らずと、今から思えばこじんまりしたイベントだった。初日の180kmを走り、疲れ果ててセンターのロビーでぼんやりしていた僕に声をかけてくれたのが相馬さんだった。相馬さんは童顔というか少年顔なので「大学生ですか?」と聞いて苦笑された記憶がある(笑)
相馬さんは前年に続いて二度目の本島一周で「二日目はラクですよ」などなど、あれこれ話しているうちに家が近所だとわかり(当時、相馬さんは東横線の祐天寺、僕は学芸大に住んでいた)東京に戻ったら一緒に走りに行く約束をした。その後、僕は相馬さんに連れられて浅川サイクリングロード経由で武蔵五日市まで走ったのを皮切りに、奥多摩方面のあちこちを案内してもらった。初めて200km超えをした時も相馬さんと一緒だった。一冊目の本の口絵で「僕の好きな道」と書いてある山梨県の県道18号がその時のコースだ。奥多摩方面を走っている人には鶴峠の道といったほうがわかりやすいか。

本を書くことが決まったとき、真っ先に「装丁はお願いしたいデザイナーさんがいる」と河出書房さんに申し入れた。こちらはただのシロート。とても装丁まで口を出せるようなものではなかったのだけど、でも相馬さんにお願いする以外に「ありえない」と思っていた。今にして思えば(逆に言えば)相馬さんは僕のようなシロート著者が装丁をお願い出来るようなデザイナーさんではなかったのだけど。彼は主に装丁や雑誌のエディトリアルデザイン、CDジャケットのデザインなどですでに知られたデザイナーだった。
彼は快く引き受けてくれて、出来上がった表紙のデザインはシロート著者の本にはもったいないくらいカッコいいものだった。実際、本の内容よりも「表紙のデザインがカッコいいですね」という感想を沢山聞いたぐらいだ。
自分が初めて書いた本が自転車の本で、その装丁を自転車の恩人にデザインしてもらうなんて、なんと幸せなことだろう。僕にとって人との出会いという意味でもツール・ド・おきなわ本島一周を走ったこと、そして「自転車で遠くへ行きたい。」という処女作は宝ものだ。

そんな相馬さんは、とにかく「集めちゃう人」のようだ。先日、彼は引っ越しをしたのだけれど、一人暮らしで2トン車3台というのに絶句した。以前彼はmixiの日記で「色違いで同じものを3つとか4つとか買っちゃうんだよね。自分でも少しおかしいと思う」と告白していた(笑)フルーツシールの記事も知り合ってから随分経ってから見つけて「そんなものまで集めていたのか!」と思ったものだ。レコードは2,000枚くらいあるらしい。多分、僕の予想ではiPod nanoを色違いで3台くらいもっているではないだろうか(笑)

自転車関係だと僕の知る限り彼の最大のコレクションはボトルだ。「200コ以上あるはず」というけれど、それだけで大きな段ボールで3、4ケースあるらしい。僕もメモリアルなイベントのボトルなどはとっておくけれど、それも限度がある。フルーツシールならいくら集めてもアルバムが何冊かで済むけれど、ボトルはねぇ(^^);; そのわりに一緒に走りに行った時「あ、ボトル忘れた」ということが多々あるのがおかしい。そもそも自転車自体、僕の知る限り5台はあるはずだ。
以前、関戸橋のフリーマーケットに行った時には、自転車関係やらなにやら、いろいろなステッカーやシールを売っているお店の前から相馬さんは30分くらい動かなかった。どういう基準で選んでいるのか僕にはさっぱりわからないけれど、吟味して大量のシールを買い込んだ彼は「大漁!大漁!」とニコニコ笑っていた。
多分、相馬さん自身がシールのような小さなもの、シンボリックなもの、アイコン的なもののデザインが大好きなのだと思う。実際、彼のデザインはそういったものをデザインしたときに冴えわたる。シンプルなロゴとシンプルなモチーフを組み合わせた彼のデザインは秀逸だ。
そんな彼は僕にもうひとつ宝ものをくれた。それはPedalFar!のジャージ。mixiの「自転車で遠くへ行きたい」コミュの仲間で作ったあのジャージも相馬さんのデザインだ。仲間内で作ったジャージはロットを重ね、最近では「どこのイベントでも必ず見かけますね」と言われるほどになった。

PedalFar!ジャージ誕生の話は次のエントリーで。


相馬さんを中心に集まったロードレースを愛するクリエイターたちの自転車チーム「CIVILTA(チビルタ)」がプロデュースしたコンピレーションアルバム。もちろんジャケットデザインは相馬さん。

CICLISMO(3)

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