愛用アプリの思い出話

今日の話は自転車の話でもないし、Macの話だし、昔話なんで、興味のない人は適当にスルーしてください。

僕は1992年頃からMacintoshを使い始めたのだけど、クリエイターではない僕がMacを使っていると話すと「何に使ってるの??」と当時は不思議がられた。あの頃のMacは僕の周り(僕は広告屋だったのだ)ではIllustratorPhotoshopのためのマシンであり、それ以外の何に使うの?というのが大半の反応だった。

で、僕は何にMacを使っていたのかというと以下の3つのことに使っていた。

パソコン通信
・アイデアをまとめる
・そのアイデアを企画書にする

パソコン通信を始めたきっかけは新聞データベースにアクセスしたいという動機で、当時は何秒いくらという法外な料金(だったと思う)のデータベースに息を止めながらアクセスして記事検索をしていた。「息を止めながら」というのは、止めていられるくらいの時間を超えると結構なアクセス料になってしまうから、という意味だ(笑)。そうやって集めたデータを参考にあれこれアイデアをまとめ、最終的に企画書にするのが僕の仕事の半分くらいを占めていた。

パソ通にはこれをきっかけに深く関わることになり、ある企業がNifty-Serve(現@nifty)上に設けたユーザーサポートフォーラム(正確に言うとNifty-Serveのシステムを使ったプライベートフォーラム)の運営を10年近く請け負った。そこで僕はネット上のコミュニティがどういうふうに育ち、参加者がどのように行動するのかということを学んだのだが、これはまた別の機会に。

で、アイデアをまとめ、それを企画書のカタチにする時に使っていたのが「Inspiration」と「クラリスインパクト」という2つのアプリケーションだ。

Inspirationは日本語版のバージョンアップが途絶えて久しいけれど、開発元は今でも存在している。Inspirationが使いたいがためにMacだったと言っても過言ではない。
確かアイデアプロセッサという呼ばれ方をしていた。機能はシンプルで、要はカード式発想法(KJ法とか京大式カードとか)に似た作業を画面上で行うアプリケーションだった。当時、アイデアプロセッサ(アウトラインプロセッサ)はInspirationとActa7が双璧で、僕はグラフィカルなInspirationが好みだった。

テーマに関連する項目を書き込んだカード(オブジェクト)を沢山作り、それを並べ替えたり線で繋げたりしてアイデアをまとめていく、或いは発想を広げていくといった使い方をする。今流行りのマインドマップのシンプルなものだ(と言っていいのだろうか)。

簡単な企画書はInspirationだけで完結した。アイデアをまとめフローを作り、補足のテキストを書き加えれば出来上がり。もう少し見栄えが良く作るときは「クラリスインパクト」を使った。こちらはビジネス書類を作るための統合アプリで、その機能の豊富さに対して操作は直感的で使いやすいアプリだった。
クラリスインパクトはアップルの子会社だったクラリス社の製品で、クラリスはアップルに併合されたり分離したりと紆余曲折の末にファイルメーカー社になり、クラリスインパクトはラインナップから落ちた。同時に同社のメールソフト「クラリスメール」もラインから落ち、こちらも長く愛用していたので、この2つのアプリケーションの開発が止まったことには結構ダメージを受けた記憶がある。Inspirationも90年代終わりには日本語版のバージョンアップが止まり「Inspirationとクラリスインパクトがあればオレは飯を食っていける」と思っていたくらいなので、本当に残念だった。

その後、客先との兼ね合いもあって、パワーポイントを使う暗黒時代がしばらく続いたものの、いつごろからだったか「オムニグラフ」を使うようになった。これ、使っている人、多いんじゃないだろうか。使い勝手にやや不満もあるものの、Mac用のこの手のアプリとしては秀逸な出来だと思う。オムニグラフで検索すると「クラリスインパクトを思い出す」という人が結構見つかる。

「オムニグラフ」は本を書くのには使わないけれど本業(僕の本業はIT系の広告屋だ)では活躍してくれている。そして前のエントリーに書いた「Tree」がある。しばらくはこの2つのアプリで仕事+原稿書きをこなしていけそうだ。