東京→糸魚川ファストラン

東京→糸魚川ファストランを走ってきた。実は300km以上の距離を走るのは去年のこの大会以来。結果は完走397名中ドンジリ。僕にとってある意味、ヒジョーに記念すべき大会となったのでした。

最も早い3時スタートなので0時過ぎに家を出る。自宅から高尾山口までの50kmですでにしんどい。コミュのメンバーに「途中リタイヤとかありえませんよね。著者的に」とか言われてビビる。もうスタートする前から苦笑いである。300km程度で緊張してしまう今の自分が情けない。

スタートしたら直後の大垂水峠の登りでもう皆に着いていけない。途中、何度か知り合いの列車に声をかけてもらうものの、後ろに付くことすら出来ない。糸魚川までほぼ全行程独り旅だった。
きっと今回参加した参加者が書くブログには全員がこのこと書くと思うけど、甲府を抜けた辺りからずっと向かい風。富士見峠なんて延々とゆるゆる続く登り坂で向かい風。諏訪湖の湖畔も向かい風。松本を抜けても向かい風。もうひたすら向かい風なのでした。

後ろからスタートしたほとんどすべての人に追い抜かれ、途中までは「頑張って!」「おー!」とか声を返していたのだけど、もう後半は「あ〜」「う〜」と応えるのが精一杯(とほほ)。

疲れてきたときの僕の典型的悪いフォーム。左膝が開いてしまう。
本の表紙の颯爽としたフォームとはかなり違う(^^);;(kskさんのアルバムから拝借)

でも途中の塩尻のチェックポイントで嬉しいことがあった。数日前に拙著の感想のメールをくださった方が松本在住の方だったので、返信に「週末はイベントでそちら方面を通るんです」と書いたところ、わざわざ応援に駆けつけてくれたのだ。しかも交通安全祈願で有名な穂高神社のお守りをいただいた。わざわざ買ってきてくださったとのこと。思いもかけないことに感激した。お陰で白馬以降の道路状況がよくない区間も無事に走りきることができました。ありがとうございました。

木崎湖の絶景ポイントでは一瞬脚を止めお気に入りの景色を眺める。少し湿度が高かったせいか例年よりちょっとぼんやりしてみえる。いや、疲れ果てて僕の目がぼやけていたせいかも。深呼吸をして白馬の最終チェックポイントへ急ぐ。脚きり数分前にチェックポイントを通過し、あとはゴールまで下り基調だ。

すっかり暗くなった20時過ぎにゴール。PedalFar!チームは途中リタイヤ、タイムアウトの方がいたものの、全員が無事に糸魚川まで辿り着いた。サポートカーを出してくれたメンバーにも感謝感謝である。ゴール後は皆でいつもの焼肉屋へ。あーうまいぞ、肉!肉!

強烈に肉が食べたいこの感じも、脚がパンパンに張った感じも、腰が鈍く痛い感じも久しぶりだ。自分のカラダに感じるこの感覚。一体いつから僕はこの感覚から離れていたのだろう。一昨年のツール・ド・おきなわ市民80kmレース以来じゃないだろうか。アキレス腱の痛みさえ懐かしい。僕はこの感覚から1年半も離れていたのか!
焼肉の後、ホテルに戻って横になったら一瞬にして眠りに落ちた。「狼の眠り」と僕は呼んでいるのだけれど、一瞬で眠りに落ちて、次の瞬間には朝になっているこの感じ。純粋に肉体的にとことん疲れた時にしかこの眠りは訪れない。普段の生活ではここまで深く眠れることはあまりない。

翌日の表彰式では途中からロビーで居眠りしている間にブービーメーカーとして表彰されていた。身代わりで賞品を受け取ってくれたkskさん、すみませんでした。「本の宣伝すればよかったのに」と言われたけれど、ブービーメーカーがロングライドの本を宣伝しても説得力ないですから(^^);;

久々の300kmは本当に遠かった。100km走ってもゴールまでまだ200km近くある。気が遠くなった。でもね、自転車っていうのは不思議な乗り物で、ペダルを踏んでいればやがてそれは残り100kmとなり、50kmとなり、そしてゴールに辿り着くのである。そのことを思い出した。
走れなくなっている自分を思い知ったけど、でも摩訶不思議なことが起こったわけでも、なにかを間違えてそうなった訳でもない。走っていないから走れない、ただそれだけのこと。また走ればいいのだ。