北へ走る：山形県酒田へ - 自転車で遠くへ行きたい。

先月のシルバーウィークに山形県の酒田まで行ってきた。親戚が何人かいてちょっと用事があったのだ。漠然と「600kmくらい？」と思っていたのだけど、調べてみたら最短距離で480km。思いの外近い。折角の５連休だし走ってみることにした。
土曜は残っている仕事を片付けて「連休中にこれ、宜しく」とデザイナーくんにメールを打って（ヒドイｗ）気がつけばもう夜。
カミさんは後から飛行機輪行なので、こちらは月曜の晩飯までに酒田に着くスケジュールで日曜未明（３時頃）に家を出発。一気に走れば30時間くらいかと思ったけれど、別にそういう走り方をしたいわけではないので、途中仮眠も含めて36時間から40時間で予定を立てた。
とりあえず環七から国道４号に出て、あとはひたすら北上である。出発して１時間ほど、草加市辺りでキャットアイを踏んでパンク。トラックの行き交う深夜の国道沿いでチューブ交換。なんだか懐かしい感じ。久しくこういうのもなかった。チューブ交換しながら「あー久しぶりだなぁ」と一人で笑ってしまう（不気味ｗ）。帰りは飛行機輪行の予定でCO2ボンベは置いてきてしまったので（飛行機にボンベは持ち込めないのだ）トピークのマイクロロケットでシュコシュコとエアを入れる。ストロークも軽くてしっかり入るのだけど、その代わり100回くらいポンピングしなければならない。ま、急いでいるわけでもないし。
再スタートして暫く走ったら夜が明けてきた。これは夏の雲？秋の雲？

国道４号、いわゆる日光街道は路肩の広い区間が多く路面もいいので走りやすい。アップダウンも少なくひたすら真っ直ぐだ。巡航速度も上がる。距離を稼ぐという意味では走りやすい道だけど、まあ、はっきり言って自転車的には退屈な道だ。走っても走っても景色が代わり映えしない。来週末のジャパンカップ観戦で宇都宮まで日光街道で自走する予定の人もいるだろうけど、とっとと輪行で行ってあちこち宇都宮の街を走り回ったほうが楽しいかも。

100kmちょっと走って宇都宮に到着。開店直後のモスバーガーで朝食。その後はまたひたすら走る。相変わらず景色はこんな感じ。今思い出そうとしてもこの辺りの景色を全く思い出せない。しかも宇都宮から先の100kmはずっと向かい風でペースが上がらない。この100kmが長かった。途中何人かのロード乗りとすれ違う。こちらと同じようにディパックを背負っている。東京行きですか？お互い手を挙げて挨拶。途中何度かコンビニでコーラ休憩。あー久々にコーラもうまいぞ！

「200km超えて最初に見つけた蕎麦屋で蕎麦を食おう」と思っていたけど、その蕎麦屋に辿り着いたらもう16時。蕎麦だけでは足りなくてソースカツ丼も頼んでしまう。結構いい感じの蕎麦屋だった。福島県西白河郡矢吹町「古宿」

蕎麦を食って外に出たら夕暮れで肌寒い。北へ向かうとはいえまだ９月。半袖で無問題だろうと思っていたけど、このまま日が暮れたら結構寒そう。すみません。福島県をなめてました。さらに40kmほど走って18時半頃、郡山に到着。ここまでで240km。しばし悩む。郡山か福島の健康ランドで仮眠する予定で、福島まではあと50km。2時間半くらいか。21時には着けるだろう。しかし事前に調べた感じでは箱は郡山の方が大きい。シルバーウィークである。もし福島まで走って万が一満員で入れないとか不測の事態があれば途方に暮れてしまう。郡山も福島もビジネスホテルなどは満室でとれなかったのだ。とりあえず郡山の健康ランドに行ってみるとすでにかなり混んでいる。これは安全策をとったほうがよさそう。

チェックインしてさっと一風呂浴びてすぐに仮眠室へ。まだ満員という感じでもない。しかし何度利用しても健康ランドは不思議な空間（特に仮眠室）。この異空間については改めて考察する予定。

５、６時間寝て２時頃に再スタートのつもりで寝る。しかし目が覚めたら４時だった。残り240km。ここまでの240kmに15時間かかっている。朝飯、昼飯でしっかり１時間ずつ休んだとはいえ、かなりペースは遅い。今から支度して出発しても、後半も15時間で走るとしたら酒田着は20時頃になってしまう。しかも前半の240kmを単調な景色の中ひたすら走った後では、同じようにひたすらあと240kmを走るのは飽きてしまいそう。
ひとまず朝風呂に入って思案した結果、郡山からワープ決定。山形新幹線で景色のよさげなところまでワープして、そこから走る事に。米沢か山形か。

郡山駅まで出て駅前で輪行バッグにバイクを詰め込んで、とりあえず朝飯に肉うどんを食べる。さらに米沢牛弁当を買い込んで新幹線へ。最近の車両はAC完備なのが嬉しい。

米沢牛弁当を食べて景色を眺めているうちにうたた寝してしまう。結局、終点の新庄まで行ってしまった。160kmほどワープ。ここから酒田までは最短で60kmしかない。ちょっとワープしすぎたｗ

新庄で降りるときに同じ車両に輪行の人がいた。駅前で一緒に組み立てながら少しおしゃべり。ここから秋田まで走りながら鉄道の写真を撮るのだと言う。「自転車で走って途中で鉄道写真を撮るって、なかなかつきあってくれる人が少なそうな趣味ですよねｗ」と思わず言ってしまうとあちらも苦笑い。「鉄道写真を撮る仲間は沢山いるんですけど、自転車までつきあってくれる人がいなくて」それは友だちの選び方を間違っています。自転車乗りはどこだって走れればいいんだから、自転車乗りの中から鉄っちゃんを探した方がいいはず！

新庄のことをちょっとネットで調べて見所を少し回ってみることに。新幹線の終着駅だけあって、そこそこ賑わっている感じ。最近行ったいくつかの地方都市に比べると寂れた感じはしない。とりあえず新庄城跡などを回ってみる。

新庄は毎年クリテリウムの大会があるそうな。自転車のバンクもある。へー知らなかった。
その後、最上川沿いやらそれと平行している道などを行きつ戻りつしながら酒田に向かう。途中の高校ではお休みだけどブラスバンドが練習していた。駐輪場は「コスモナウト」のワンシーンのよう。

田んぼが見えてきた。広いぞ、庄内平野！見渡す限りの田んぼ。走っても走ってもひたすら田んぼ。

最上川沿いに出ると川下りの船が。のどかだなぁ。

しばらく最上川沿いに走ると土手にサイクリングロードというか遊歩道が現れた。あとは川沿いに走って行けば酒田である。のんびり回る風力発電機。そしてまた田んぼｗ侮りがたし庄内平野。広い。

いいかげん飽きてきたけど、まだまだ田んぼは続く。

そして16時頃、日本海に到着。

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あちこち回ってこの日は80km。480kmの走行予定のうち1/3ワープして320km。もうちょっと走ればよかった。でもまあ久しぶりに一人で遠出してなんだかいい気分で走れた。よしとしよう。どうやら一人で走る方が僕は性に合っているようだ。

この日の夜は「おくりびと」がTVで放送された。酒田が舞台のこの作品を酒田で見ることになるとは。翌日は親戚筋の用事を済ませた後、「おくりびと」のロケ地巡りをしてみた。昨晩見たばかりだから、なんだかその場所に自分が居るのも不思議な感じ。アカデミー賞受賞で酒田を訪れる人が随分増えたそうな。いい映画だよね。

酒田は本間家の地元で大いに栄えた時期があったそうで、本間家の倉庫跡やらかつての遊郭やら旧い建物が残っていて風情のある街だった。食べ物も海産物中心においしいものがある。お米がおいしいのは言うまでもない。酒田の街は自転車で見て回るのに丁度いい広さ。街もレンタサイクルを貸し出したりして自転車の活用に積極的な様子。